春日さんのベーグルには種類がたくさん。どれにしようか迷ってしまいそう。

おからベーグルとの出会い

「宮城県産のおからを使おう」というアイデアが先にあったんです。健康にいいし、ダイエットになるし。それで、ケーキとかだと間食になるから、主食のカロリーを減らしたいという気持ちがありました。そして、ベーグルを作るのは他のパン作りより簡単なんです。発酵の見極めも簡単だし、コネなくてもいいし。それに、おからという素材に対して、ベーグルが一番合ったんですよね。もちもち感との相性がよかった。おから入りのパンって結構あるにはあるんですが、健康だけど固いとか、おいしくないものも多くて。ベーグルって時間が経つと固くなるけれど、そういえば、私のベーグルはいつまでももちもちしている。アイデア次第で種類もいろいろ作れる。少量ずつでも、種類がいっぱいあって選べた方が楽しいというのは、スタッフのママさんのアドバイスなんです。当初は６種類だったんですが、今は店頭に15から20種類は用意していて、全部で30種類くらいはあります。

石恋を通じて地域の有名人に

石恋のガイドブックに載せてもらって、病院だとか、保育園だとか、あちこちで声をかけられることが増えました。石恋に出て顔を覚えてもらったというのが大きいです。地域の中で「パンを作る人なんだ」ということが、思ったより多くの人に知ってもらえていてびっくりします。「（石恋ガイドブックに）載っていましたよねえ？」て。広告とかで変な宣伝するよりは、石恋に出た方が絶対いいと思います。費用対効果がすばらしいです（笑）。

プログラムには毎回、たくさんの親子連れが参加してくれています。

第1回石恋でのプログラムの様子。春日さんの快進撃はここから始まりました！

全国のママさんたちへ
希望のカフェを石巻から

以前から、子連れで遊べるコミュニティカフェをやりたかったんですが、カフェだけだと収入を得るのが大変なので、製造販売を軸にする形で、イートインスペースも付けました。石巻って、もともとこういう場所がなかったんです。ママ同士で話す機会だとか、場所があること自体が重要なんですよね。女性って（男性より）社会的だと思うんです。避難所で友達が居なくて、日常会話がなくて、それを強く感じました。男性はもしかしたら平気かもしれないけれど、女性はおしゃべりがないとだめ（笑）。仕事を辞めて、子育て中ってそのおしゃべりの時間がスポンとなくなるんです。最初は、おうちにいて家事をしたり、子育てをしたりしているんだけど、そのうち物足りないって思ってしまう。おしゃべりをして、コレかわいいねって共感し合って、分かち合える時間が必要なんです。 震災で物資も何もない、宅急便がまだ動く前に、主人の知り合いがいろいろ集めて送ってくれたんです。全国各地のママさんたちがこども服とかを集めて送ってくれて、気持ちが本当にありがたかった。ママさんたちの想いを感じました。助けてもらいました。だから、カフェは、そんなママさんたちへの私なりの恩返しかもしれません。

「みんなのカフェ ランランフィシカント」では、ランチもやってます（要予約）。

何よりパンをつくることの楽しさを
知ってほしい。

私は、つくること自体が楽しいんです。パンを作ること自体が楽しい。生地が成長していく段階だとか。職人かたぎ（笑）？。本当は時間があったら、もっともっといろいろ作りたい！そして、みなさんにパンを作ることの楽しさを知ってもらいたい。私自身、もともとパンづくりができたわけじゃないけれど、できるようになりました。今は、お米を炊くような感覚で、家庭でパンをつくる時代がやってきていると思うんです。いろんな人に気軽に自由にパンづくりを楽しんでもらいたいですね。パン教室で教えちゃって大丈夫なの？とか企業秘密じゃないの？って聞かれることもあるし、実用新案とかも考えているんですが、それよりもパンをつくる楽しさをみんなに知って欲しいし、それで、もしかして石巻がベーグルで盛り上がれば面白いなと思っています（笑）。

店頭にて。ベーグルを注文しにきたママさんと。