達人ストーリー

絵手紙で世界にありがとうを伝える

馬場 信子さん(絵手紙の達人)

震災前は、時間つぶし程度に絵手紙をやっていた馬場信子さん。震災後、絵手紙のパワーを知り、東京に通い資格を取得しました。石恋で達人として活躍することで有名になっていき、様々な方から呼ばれるようになり、引っ張りだこで、大忙しの日々です。

プロフィール

震災後、仮設住宅で絵手紙教室のボランティア活動に携わり、住民の心の復興を支える。スタッフの呼びかけで第一回達人として「石恋」に参加、それがきっかけとなり、東京に2年間通い、講師資格を取得。被災地域のコミュニティ形成のために、楽しく心が通じる絵手紙教室も開催している。

第4回石恋での絵手紙教室は、石巻市大街道地区のコミュニティスペース「コスモスの家」で開催しました。

絵手紙ごときで
世の中を変えられるとは思ってなかった。

震災のあと、やっぺす隊のかよちゃん(※)に誘われて仮設住宅での絵手紙教室のボランティア活動を始めたの。みんな、そういうこと自体初めてだし、慣れてないし、最初はどうなることかと思ったけれど、たとえ参加者が一人だけだとしてもやるからって言われて。そしたら日に日にたくさんの人が来てくれて。津波で、みんな精神的にとてもつらい思いをしたの。鬱になって。この私だってそうなったくらい(笑)。みんな、集まって、書いては泣いて、話しては泣いて。3か月くらい。そこに何か感じるものがあったんだと思う。「馬場さんのおかげで助かった。ありがとう」って言われて。それで絵手紙の力を知ったの。ボランティアさんへの御礼に絵手紙を送って、そこから繋がった人も全国にたくさん。

(※)石恋の事務局をつとめるNPO法人石巻復興支援ネットワーク(やっぺす)のスタッフ

ありがとうの気持ちを伝えるための絵手紙

震災のとき、「これが欲しいな」というのは、時間が経つにつれて変わったけれど、大阪の友人が、そのまさに絶妙のタイミングでずっと送り続けてくれてびっくりした。それは阪神淡路大震災で経験したからだと思う。何がいつ必要なのかわかっていたの。それと、友人が言ってくれたことは、何もしないで泣いておろおろするのではなく、とにかく前に一歩でも進みなさいってこと。それが私の糧になった。だから少しずつ立ち直れた。
あのときにボランティアに来てくれた人にはこう言ってるの。もし次に何かあったら私たちが今度は全部引き受けるから私のところにおいでって。そのときには私たちはすっかり立ち直ってるからって。恩返し。震災から5年が経とうとしていて、「震災のことを忘れないで」と言っているけど、私たちも恩を受けたことを忘れてはいけないと思う。自分たちの経験を活かすような社会にしていかないと。これからは「ありがとう」をどう伝えるか。だから絵手紙なの。なんでもスピードの時代だけれど、手書きの良さがあると思う。絵手紙だと、心が伝わるの。みんな、ちょっとしたことをきっかけに繋がりたいとか、誰かの役に立ちたいって思ってる。震災以降、それがわかった。人ってすごいと思った。繋がりたくないとか面倒くさいって言ってる人も、きっときっかけがないだけじゃないのかな。それが、絵手紙だと繋がれるのよ。

自分の想いを絵と短い文で表現します。

在宅被災者による
在宅被災者のための「コスモスの会」

「コスモスの会」も町内のつながりをもとめて、2年くらい前に立ち上げたの。みんなでしゃべってる中で、生活も落ち着いてきたし、この辺りの人たちを集めて何かしようと思って。交流しませんか?って。月に1回くらい絵手紙教室だとか紙バンドの手芸教室なんかをしてる。町内会自体は昔からあるにはあるんだけど、あんまり地域のことには積極的じゃないから。でも、おかげで、「おはよう」だけじゃなくて、話をするようになったし、関係がよくなった。お互いに助け合わなければ、という意識は芽生えてきたと思う。ただ、元気のいい女性だけが集まってくる感じだから、元気のない女性や男性をどう巻き込むのかが課題。将棋だとかマージャンや畑つくりなどしてね。

馬場さんはいつも言います。「下手でいい。下手がいい。心を込めて描いた手紙はきっと相手の心に伝わります。」

地区のおばちゃんから、
石巻の馬場信子になりました。(笑)

津波もあって、亡くなった人もめげてしまった人もいるけれど、震災のおかげというか、津波を跳ね返して、踏み台にして目覚めた、今まで知らなかった世界を知るようになった人も結構いると思う。私もそう。
私は来た話は断らないの。仮設の活動だって、石恋だって断ったらそこで終わりだったけれど。チャンスだと思って。そして、ひとりで背負わない。仲間に手伝ってもらう。「知らなかったら損だよ。一緒にやろうよ」って誘って。そしたらはまっちゃって、「これから馬場さんについていく」みたいな人が出てるくらい(笑)。そして、何事もおもしろいと思ってやる。「えーそんなことできるのー?」って言う人もいるけど、「やったことないから楽しいんじゃないの!?」って言い返す。失敗したって別にいい。残り少ない人生。カラダが動くうちは楽しまなきゃ(笑)。
私は絵手紙講師の資格をとって、ますます飛躍したの。震災前は大街道のおばちゃんだったのが、震災後は、石巻の馬場先生となったみたい(笑)。まだまだ絵手紙をやってみたいと思ってくれている人は結構いると思う。絵手紙を広めるという意味で、石恋はいいよね。これで、お金儲けができればもっといいけど(笑)。

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